当塾で中学受験を目指し、通塾中の小学6年生Y君が数学検定3級に合格しました!
数検3級の範囲は基本的には、中学3年終了時までに学校で学習する範囲です。
出題の比率は、中学3年生の範囲が30%、中学2年生の範囲が30%、中学1年生で習う基礎的な問題が30%、
そして、数検の特有問題が10%です。
ちなみにこの特有問題とは、思考力を問うような問題で、過去問には出てこない初見の問題とされていますが、文章をしっかりと読む力と、中学3年生までの範囲を理解していれば、さほど特徴的な問題とは言えないでしょう。しかし、周知の通り、数検は5級から1次試験と2次試験に分かれ、1次で70%、2次で60%の正答率がなければ合格できません。範囲とされる学年までの単元をおさらいしていないと合格は難しいでしょう。つまり中学3年生が3級を合格するのは順当だと考えても、小学6年生が3級の合格証書を手にすることは至難の業と言えます。
日本には飛び級制度がありません。そして実際にこの飛び級の感覚を与えてくれるのが数学検定、英語検定、漢字検定などの各種検定です。無論、中学受験は小学校で習う範囲以上の知識を必要としますが、多くの塾で使用するテキストは、5年生なら5年生のテキスト、6年生なら6年生のテキストを使用します。これではたとえ多くの単元を体得したにせよ受験生たちにとって、「僕は(私は)学校のみんなより進んだ特別の勉強をしているんだ」という意識をもつことがなかなかできません。しかし、そんな意識を自覚するようになれば勉強に対するモチベーションも上がるのではないかという考えのもと、中学受験生に数検3級という目標設定を立てて指導していきました。
数検3級の問題は因数分解、平方根、三平方の定理、面積や体積比、二次関数、連立方程式と小学生にとっては膨大な範囲を学習しなければなりません。最近では、入試問題の算数において方程式を使っても構わないという見解を示す中学校も出てきましたが、これまでの中学受験の算数には正負の数という概念はなく、方程式を使ってはいけないという暗黙のルールがありました。それは、数学とは違い、算数は「考える力」を育てるという大前提があるからです。確かに方程式は汎用性がありますが、小学生にとっては、つるかめ算や旅人算といったそれぞれの単元の公式を覚えたほうがミスは少なくなります。しかし、中学生が習う解法を体得することにより、勉強に対するモチベーションは俄然アップします。出来ないものができるようにあった喜びが、具体的な結果として表れることは大きな自信に繋がるようです。
今回の数検3級合格は、Y君にとって飛び級試験に合格したような喜びと手応えがあったようです。東京進学セミナーでは、このように従来の中学受験対策のみでなく、生徒それぞれの個性に合わせ、モチベーションを高められるような指導を模索していきたいと思います。
敢えて中学数学の範囲にチャレンジしたことは、中学受験の算数の進捗を妨げるように思えますが、3級というひとつの到達点に届いたことは、本人にとって、これから中学で学習する単元すべてを俯瞰して見ることのできるいい経験にもなったように思えます。また、中学受験は、勉強のテクニック以上にメンタル面のケアが大切だと言われています。つまり、どのようにモチベーションを高め、天王山と言われる夏休みを迎えるかが大きな課題となります。一見不可能だと思えることにチャレンジし、見事クリアしたことで手にした成功体験は、来年2月に本番を迎える受験にとっても大きなバネとなったはずです。