中学受験生のみなさん、こんにちは。
東京進学セミナー 講師の新井です。
今週の『二月の勝者』の内容をまとめていきます。
※コミックス7巻の内容になります。単行本派の方は読まないことをおすすめします。
第62講 「十月の紛糾」概要
冒頭、桂先生と黒木先生が、まるみと樹里の相乗効果がありそうなことを確認しています。
さて、桜花ゼミナールでは、10月に入り、志望校別の日曜特訓がはじまりました。
多くの生徒は希望するクラスに入れましたが、
成績が足りず、一部生徒は希望のクラスに入れませんでした。
また、併願校を含めた志望校の最終決定を行う必要があり、
黒木先生を中心に、生徒本人の希望と、保護者の希望をそれぞれ確認し、本人やご家庭と面談していきます。
最初のご家庭は三浦佑星君。
現在偏差値44、第一志望校である園学院中学の偏差値は50。
6ポイントの差についてどう考えるべきか、黒木先生はアドバイスします。
” 偏差値44だからといって、偏差値50の学校に受からないとは限らない ”
大変満足して三浦君のご両親は塾を後にします。
しかし、帰り道の井の頭公園で、ふと、受験まであと14週間しかないことに気づく三浦家であった。
自分の偏差値と志望校の偏差値に差があっても受かるの?
今回はこの論点に絞って考察したいと思います。
まず確認しておかなければならないのは、ふだん受験生がみている偏差値表は、”80%偏差値”だということです。
少なくとも、首都圏模試と四谷の合不合判定模試の二大模試では、ほとんどの塾が80%偏差値で判断します。
これは、目標偏差値を取ることができれば80%合格する、ことを意味します。
80%合格は、5回中4回は受かる確率ですので、複数回受験することで合格期待値を1に近づけることができます。
今回問題になっているのは、目標偏差値から下側に外れてしまっている場合です。
常識的にいえば、自分の偏差値49であれば偏差値50の学校に受かる可能性はかなり高いことがわかると思います。
では偏差値45では?
偏差値40では?
実は、目標偏差値を下回った場合の合格可能性は学校によって異なります。
以下は一例になります。
合格者の偏差値の分布がこのような正規分布に従うと仮定すると、仮に自分の偏差値が30のまま偏差値50の志望校に突撃したとしても、5%の確率で合格できるといえます。
逆に偏差値70の受験生が偏差値50の中学を滑り止めにしたとしても、1%の確率で不合格になることもいえます。
これが受験のおそろしいところですね。
ですので、作中で話題にあがったように、偏差値44の受験生が目標偏差値50の中学に受かる可能性は、十分にあります。
ただし、逆転合格するためには、過去問の入念な対策がセットになります。
過去問を制すものが受験を制すとも言われます。
大人にとっては似たような問題でも、子どもにとっては全く見え方が異なっている場合もあります。
過去問対策は大きな励みとなるでしょう。