東京進学セミナー 講師の新井です。
今週の『二月の勝者』の内容をまとめていきます。
※コミックス8巻の内容になります。単行本派の方は読まないことをおすすめします。
第64講 「十月の操縦」概要
佐倉先生が塾内でうっかり爆睡してしまい、橘先生に起こされるところから始まります。
( 直前期の塾業界あるあるです。作業していて始発で帰るつもりが、私も何度泊まってしまったことか。
今年はやらかさないように気をつけます。 )
舞台は運動会です。作者がTwitter上でもおすすめしているお弁当が出てきます。
確かにとても美味しそうです ( 笑 )
その後は先週・先々週から続く面談ラッシュです。
今週は田中利久君と大友真千音さん、今川理衣沙さん。
田中君は2月1日からフルスロットでチャレンジ校を受けるのではなく、
午後に安全校を持ってきてひとつ合格を出してから、はずみをつけて2日以降に臨むよう提案、
一方大友さんのご家庭には、お父様のご意向を通すためには、恐ろしい量の家庭学習による挽回が必要だということを理解させ、
志望校の偏差値を下げる提案をした。
このあたりの黒木先生の敏腕はまさにタイトル通り、保護者を ” 操縦 ” していますね。
ただ、3件目の今川さんのご家庭では思うように志望校下げの提案ができず、
さすがの黒木佐倉ペアも苦戦必至か・・・というところで次回の合併号に続きます。
中学受験のために学校を休ませるのはアリ?ナシ?
さて、今回選んだテーマは ” 学校を休ませるべきかどうか ” です。
佐倉先生の質問を受けて、黒木先生は休ませないほうがいいとの主張ですが実際はどうなのでしょう。
結論からいうと、志望校に公立中高一貫校が入っていれば休ませるべきではなく、
私立受験のみの場合は環境が用意できるなら学校を休ませてもいい、ということです。
保護者同士で情報交換していても、このあたりの前提条件が異なるご家庭であると、違った結論になりますのでたいへん注意が必要です。
まず、公立中高一貫校は 通知表をもとにした ” 報告書 ” を、3学期の頭に提出しなければなりません。
当然、出席日数が情報として中学に送られますので、10月頃から休みはじめてしまうと、
今まで休まず通っていたのに、6年の2学期になって急に休みが増えた、ということがバレてしまいます。
多くの公立中高一貫校では、将来日本を背負うリーダーの素質のある生徒を募集しています。
自分だけ受かれば良い。クラスのみんなや同じ班のみんなに迷惑をかけようが知ったことではない。そのような姿勢は、リーダーシップとはほど遠い姿です。
出席日数がどれほどの得点になるのかはブラックボックスですが、リーダーシップが欠如した姿が透けて見えるような報告書づくりをするべきではないでしょう。
もし私立併願の勉強もあってどうしても間に合わない、というのなら、報告書を提出する1月頭のあとに休みましょう。
また、私立でも全ての受験生が休めばよいとは言えません。
学校を休み、家族のいない家でひとりで5時間〜6時間勉強し、夕方塾へ行く流れを考えます。
たしかにはじめの何日かは、学校を休んで勉強をしている、という行為自体への高揚感があり、集中して勉強できるでしょう。
しかし、ある時急に緊張の糸が切れて、午前中ずっと寝てしまったら?
ある時急に魔が差して一瞬つけたテレビを、ずっと見てしまったら?
家で一人だけで勉強することには、非集中リスクがつねにつきまといます。
受験生といえども、気を抜いてしまえばただの小学6年生なのです。
そのことを忘れてはいけません。
逆に非集中リスクさえクリアできれば、学校を休むメリットが見えてきます。
つまり、朝から塾の自習室があいていたり、常に保護者が家庭にいて適度なプレッシャーがあったりすれば、学校を休んでも良いといえます。
なお、当たり前ですが、受験生自身が学校に行きたいのであれば、無理に休ませてはいけません。
すべての子どもには、等しく公教育を受ける権利があるはずです。